展覧会DMより
桑田道夫の近作からは、まず日常の<もの>たちへ寄せたこの作家のなみなみならぬ愛着が感じられる。作品となった<もの>たちはみな、日常そのままに何の気どりも示していない。<もの>を突然他者に変容させるショッキングな手法もあるのだが、この作家はそうした手口を好まない。けれども、ただの<もの>たちであるはずなのに、それらが私たちに語りかける言葉に耳を傾けると、その内、やはり平板な日常をゆさぶるような息づかいをともなっているように思われてくる。愛すべきたたずまいなのだが、実は相当手ごわい対象だと称していい。
―――高見堅志郎(美術評論家)
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